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1/18(土)アイヌ力共催イベント「フチとエカシに昔の話を聞きに行く」開催報告

2025年1月18日土曜日、札幌から車で約1時間半の距離に位置する白老・シマフクロウの家にて「フチとエカシに昔の話を聞きにいく」報告会を実施しました。今回は一般社団法人アイヌ力との共催でした。

この報告会の内容は本プロジェクトの聞き取りチームの成果報告です。この日は2025年初めてのアイヌ力としてのイベントの日でもあったため、朝は関係者によるカムイノミから一日が始まりました。儀式が進むにつれ、本日の報告者としての緊張が高まります。

当日の朝のカムイノミ

開始時刻が近づくにつれ、一人また一人と参加者が来られました。今年の雪は少ないとはいえ足元の悪い中にもかかわらず、地元で活動するアイヌ力との共催だったこともあり、12名もの人が地元・白老だけでなく、札幌からも足を運んでくださりました。アイヌ力の関係者を含めると30名近い参加者が集う会となり、会場はとても賑わっていました。本プロジェクトで聞き取りをさせていただいた白老のフチ・大須賀るえ子さんも参加してくださいました。

報告会の会場の様子

ランドアクノレッジメントを行った後、報告会の内容に入りました。前半は本プロジェクトの説明および聞き取りチームの位置付けと総合的な成果報告でした。後半では大須賀るえ子さんのライフストーリーを紹介しました。ストーリー全体は内容が盛りだくさんであるため、一度に全てを共有することはできません。今回はストーリーの一部を朗読したり、ウェブサイト内の音声を流したりすることを通じて、聞き取った側が読み取ったもの、感じたものを参加者たちに共有しました。一部とはいえ魅力的なストーリーであることに変わりはなく、参加者たちの興味関心が高まったことを感じました。

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質疑応答では、参加者の方々からライフストーリーの詳細に関する質問が多く寄せられました。人生史に関わる部分への質問では、せっかくなのでるえ子さんから直接答えていただきました。また質問に対する回答だけでなく、聞き取りでは聞ききれなかった、アイヌ語やユカラ(叙事詩)への思いをご本人から参加者の方々にお伝えいただくこともできました。

質疑応答で生き生きと回答してくださる大須賀さん

ウェブサイトに掲載されているライフストーリーのご本人とその聞き取りを行った者が報告を行うという、大変貴重な報告会となりました。(報告:川合蘭)

参加者のアンケートより(一部抜粋)

  • 大須賀さんのお話を直接聞けて大変良い機会になりました。お話が大変魅力的で、先住権の勉強のためにも、アイヌ語をもっと勉強したいと思いました。
  • アイヌに古くから伝わる物語が好きです。今日のように直接生の声で聞けたことは、とても貴重なことです。参加して良かったです。
  • 過去においても現在おいても世界の紛争地域の支配手段が同化政策だと再認識しました。地域の民話や信仰はもちろん、「言葉」は大事だと感じました。
  • 報告されたようなエカシ、フチのお話を次世代につなぐ活動はすばらしいです。こういった機会を増やしてほしいと思いました。
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