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現代語訳・北海道土地売貸規則(1872年)

明治5年9月-日  開拓使布達 info:ndljp/pid/784408

原文現代語訳(仮)
第1条原野山林等一切ノ土地官属及従前拝借ノ分目下私有タラシムル地ヲ除ノ外都テ売下地券ヲ渡永ク私有地ニ申付ル事原野山林などの一切の土地、官属および従前の拝借の分(もっか私有たらしむる地を除く)のほか、すべてを売却して地券を渡し、永久に私有地とする。
第2条売下ノ地一人十万坪ヲ以限トシ下手後十ケ年除租タルヘシ尤已ニ私有シタル地ヲ相対売買スル者ハ其坪数制限ナカルヘキ事売却する土地の面積は一人あたり10万坪(33ha)を上限とする。売り下げ後の10年間は税金を免除する。やむをえず私有地を売買する場合は、土地面積の制限は設けない。
第3条売下ノ地価上等千坪一円五十銭中等同一円下等同五十銭千坪以下其割合タルヘシ且其地代即納タルヘシト雖家産中人以下或ハ罹災窮乏ノ者ハ三年乃至五年賦上納申付ル儀モ可有之事売却する土地価格は、上等(ハイクラス)で1.5円/1000坪(33a)、中等(ミドルクラス)で1円/1000坪(33a)、下等(ロークラス)で0.5円/1000坪(33a)とし、面積1000坪(33a)未満の土地の場合も同様の基準で算出すること。土地代金は即日支払いを原則とするが、資産が中級(ミドルクラス)以下の人や、災害のために当座のお金がない人は、3~5年の分割払いを願い出ることもできる。
第4条既ニ私有スルノ土地ハ牧畜開墾等一切ノ産業ハ勿論他人ヘ売却スルモ其地主ノ自由タルヘシ尤右等下手スル節ハ水利運便等ニ注意シ其方法及期限等詳細ニ可申出事従来からの土地所有者は、牧畜・農地造成など、どんな産業向けにも自分の土地を自由に売却できる。ほかの個人に売却するのも自由である。ただし、そのように土地を売買する際には、土地所有者はその土地での水利用や交通の現況、それらインフラの利用期限・利用契約などについて、相手に詳しく説明すること。
第5条人民私有ニ属スル土地ト雖外国人ヘ売渡或ハ之ヲ引当トシテ金子ヲ借受ル等可為禁止事(官有地ではなく)私有地とはいっても、その土地を外国人に売却したり、その土地を担保に外国人からお金を借り入れたりすることは禁じる。
第6条土地買下ノ後開墾其他共上等地ハ十二ケ月中等地ハ十五ケ月下等地ハ二十ケ月ヲ過キ不下手者ハ上地申付ル事土地を購入した後、期限内にその土地を開墾して農地化するなどの利用を行なわなかった場合は、その土地を返納しなくてはならない。その期限は上等地で購入後12カ月、中等地で15カ月、下等地で20カ月である。
第7条除租満期後ノ制程ハ追テ其地ノ差等ニヨリ適当ニ可相定事免税期間が終わった後の課税方法については、その時の状況を見ながら適宜制定すること。
第8条採鉱漁猟等都テ殖産興業ノ見込アリテ出願スル者ヘハ其方法取調年限ヲ立貸地等ニ差許シ税則ハ出品ノ精粗多寡ニ随ヒ追テ適当ニ可相定但諸鉱山脈理等ノ甲乙ハ査了シテ可公布事鉱物資源の採掘場、漁場・狩猟場の開発など、殖産興業につながると見込んで土地売り下げを申請する人たちには、あらかじめ(官が)それぞれの計画を審査し、期限を設定して(売却ではなく)貸借契約を結ぶこともできる。また、納税については、生産物の品質や多寡に応じて適宜制定することにする。なお、各地の鉱脈について有望かどうかの調査結果は公布する。
第9条右等諸工業ノ新発明或ハ水陸運便等ニ費財尽力シテ国家人民ノ利ヲ興シタル者ヘハ其功業ノ大小軽重ニ因リ若干ノ土地ヲ付与シ或ハ専売除租ノ栄利ヲ与ル等ノ処置可有之事第8条に挙げたような工業開発に取り組んで、新たな発明や、陸運・海運のためのインフラ整備に私財を投じて、ひろく国家・人民に利益をもたらした功績者には、その内容に応じて、土地の付与、専売権、免税といった特典を与えることができる。

原文パートは、『開拓使事業報告』附録布令類聚上,大蔵省,明18.11. (国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/784408 (参照 2024-10-12)から転載。現代語訳(仮)パートは、平田剛士が担当しました。

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