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「先住民族の権利に関する国連宣言への進展が限定的」2010年、人種差別撤廃委員会の総括所見から

2010年4月6日
第76会期 本条約第9条に基づき締約国より提出された報告の審査・人種差別撤廃委員会の総括所見
CERD/C/JPN/CO/3-6

日本は、人種差別撤廃条約(1969年発効)の締約国です。日本政府は、1995年にこの条約を批准しました。

条約に基づいて設置された監視機関・人種差別撤廃委員会は、日本政府に対して、2001年・2010年・2014年・2018年と、これまで計4本の「総括所見」を送っています。このうち、2010年の総括所見から、アイヌ民族に言及した部分を抜粋しました。

参照 日本外務省「人権外交 > 人種差別撤廃条約」のウェブページ 2026年2月6日閲覧

5.委員会は、締約国がアイヌ民族を先住民族として認めたこと(2008年)に祝意を表し、アイヌ政策推進会議の創設(2009年)に注目する。

20.アイヌを先住民族として認識したことを歓迎し、象徴的な公的施設建設や北海道外のアイヌの地位に関する調査の実施のための作業部会の設立を含む締約国のコミットメントを反映した施策に関心をもって留意するとともに、委員会は以下について懸念を表明する。

(a)協議フォーラムや有識者懇談会へのアイヌ民族の代表が不十分であること。

(b)北海道におけるアイヌ民族の権利の発展及び社会的地位の改善に関する国家的な調査が欠如していること。

(c)先住民族の権利に関する国連宣言の実施に向けた進展がこれまで限定的であること(第2条及び第5条)。

委員会は、協議を、アイヌの権利に取り組む明確で方向性のあるアクション・プランを持った政策及びプログラムに転換するために、アイヌの代表と協力して更なる措置を講ずること、並びに、協議におけるアイヌ代表者の参加を増やすことを勧告する。また、アイヌ代表者と協議しつつ、先住民の権利に関する国連宣言などの国際的コミットメントの検証・実施を目的とする第三者作業部会設置を検討することを勧告する。委員会は、北海道のアイヌ民族の生活水準に関する国家的調査を実施することを要請し、本委員会の一般的勧告23(1997年)を考慮することを勧告する。さらに、委員会は、締約国に対し独立国における原住民及び種族民に関するILO169号条約(1989年)を批准することを検討することを勧告する。

22.委員会は、バイリンガル相談員や7言語による就学ガイドブックといった締約国による少数グループへの教育を促進する努力に評価をもって留意する。しかしながら、教育制度における人種差別克服のための具体的施策の実施に関する情報が欠如していることを遺憾に思う。さらに、委員会は以下の事項を含め、子どもの教育に差別的な影響を及ぼす行為について懸念を表明する:

(a)アイヌの子どもやその他の国のグループの子どもが自らの言語に関する教育や自らの言語による教育を受ける適切な機会の欠如

(b)締約国における義務教育の原則が、日本が締約国となっている本条約第5条の(e)の(v)、児童の権利条約第28条並びに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条2に適合した形で、外国人の子どもに完全には適用されていない事実

(c)学校の認定、教育課程の同等性や高等教育への入学に関連する障害

(d)締約国に居住する外国人及び韓国・朝鮮系(Korean)、中国系の学校に対する公的支援や補助金、税制上の優遇措置に関する異なる扱い

(e)締約国において現在国会にて提案されている公立及び私立の高校、専修学校(technicalcolleges)並びに高校に相当する課程を置く多様な機関の授業料を無償とする法制度変更において、北朝鮮の学校を除外することを示唆する複数の政治家の姿勢(第2条及び第5条)

委員会は、非市民に対する差別に関する一般的勧告30(2004年)に照らして、教育機会の提供において差別がないこと、締約国の領域内に居住する子どもが学校への入学や義務教育就学において障壁に直面しないことを締約国が確保することを勧告する。また、委員会は、この点において、外国人のための学校に関する種々の制度や、国の公的学校制度の外で別の枠組みを設立することが望ましいかについての調査研究を締約国が行うことを勧告する。委員会は、締約国の少数グループが自らの言語に関する教育や自らの言語による教育を受けられるように適切な機会を提供するとともに、締約国がユネスコの教育差別防止条約への加入を検討することを慫慂する。

25.委員会は、本条約において保護されているグループによる日本社会への貢献に関する正確なメッセージを伝えることを目的として教科書を改訂するために、締約国によりとられた措置が不十分であったことを懸念する(第5条)。

委員会は、締約国がマイノリティの文化や歴史をよりよく反映するために既存の教科書を改訂することやマイノリティが話す言語で書かれたものを含む歴史や文化に関する書籍及びその他の出版物を奨励することを勧告する。特に、義務教育において、アイヌや琉球の言語教育及びこれらの言語による教育を支援することを慫慂する。


※引用は日本外務省のウェブサイトから。2026年2月8日閲覧。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/pdfs/saishu3-6.pdf
レイアウト 平田剛士(フリーランス記者)

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