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現代語訳・日高胆振両州鹿猟規則取扱心得(1875年)

法令ID番号:00801193
明治8年10月3日  開拓使本庁達
廃止年:不明
https://dajokan.ndl.go.jp/#/detail?lawId=00801193

開拓使布令録編輯課 [編纂]『開拓使布令録』明治8年[中],[開拓使],1881印刷. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/995335
原文現代語訳
○第四百五拾七(番外 民事 九ノ三拾六号 静内 拾ノ拾一号 浦河)第457 番外 (民事9-36号 静内 10-11号 浦河)
十月三日 民事局1875(明治8)年10月3日 民事局
静内 浦河 出張所静内出張所・浦河出張所あて
今般胆振日高両州方面鹿猟仮規則相達候ニ付テハ右取扱心得別紙之通相定候条右ニ照準取扱可由此旨相達候事このたび、「日高胆振両州鹿猟規則」を通達したところである。合わせて、別紙の「取扱心得」を制定したので、〈「官」は〉これにしたがって対応するように通達する。
(別紙)(別紙)
胆振日高両州方面鹿猟仮規則取扱心得書胆振日高両州方面鹿猟仮規則取扱心得書
第一条第1条
一 銃猟矢猟免許鑑札凡積ヲ以其出張所ヘ可相渡置候条第一雛形ノ如ク記入シ免許元帳ヘモ同様記載シ順序番号ヲ付シ元帳ト割印ノ上下ケ渡スヘシ銃猟・弓矢猟の免許鑑札は【凡積ヲ以】各出張所に提出・保管すること。〈必要事項を〉書式(1)のとおりに記入し、「免許元帳」にも同じように記載しなさい。順に通し番号をふり、「元帳」と割印を押してから、〈出願者に〉下げ渡しなさい。
第二条第2条
一 矢猟ハ土人ノミ免許スヘキ義ニ付其段篤ト相諭シ右猟ヲ営ント乞フ者ハ其器械設置スル場所ヲ銘々為申立其見込ノ地人民傷害ヲ蒙ル恐レナキ場所ニシテ不都合ナキト見認ル上ハ前条ニ随テ免許鑑札ヲ与フヘシ弓矢猟の免許を与えるのは、アイヌ民族に対してだけだ、ということをしっかりと説明しなさい。弓矢猟を行ないたいと希望する人には、装置〈アマッポ〉を設置する場所を個別に申告させ、第三者を傷つけたりする危険性がなく〈弓矢猟を実施しても〉問題のない場所だと確認できたら、第1条の手続きを経て、免許・鑑札を与えなさい。
但銃猟ノ如ク願書差出サスルニ不及事ただし、銃猟免許希望者のような願書は、提出させなくてもよい。
第三条第3条
一 免許鑑札遺失セシ者並水火盗難等ニテ失ヒ候者有之再応受取方申立候節ハ事実取糺ノ上更ニ下渡方可取計事但税金取立ルニ不及事●免許・鑑札を紛失した人、水害・火災・盗難などでなくしてしまった人から、免許・鑑札を再交付してほしいと申告があったら、事実関係を確認してから、再交付の手続きをとりなさい。税金を新たに徴収する必要はない。
第四条第4条
一 収納税金ハ一ケ月毎ニ取纏メ第二雛形ノ仕訳書ヲ添会計局ヘ可相納事免許者が納めた税金は毎月とりまとめ、書式(2)のように作成した仕訳書を添えて、会計局に納めること。
第五条第5条
一 猟期限相済免許鑑札返納致候ハ丶元帳ニ引合セ枚数等取調其出張所ニ於テ悉ク焼却可致事狩猟シーズンが終了して免許鑑札が返納されたら、「元帳」と照らし合わせて、枚数などを確認してから、各出張所ですべて焼却しなさい。

先住民族アイヌに対する「同化政策」の多くは、開拓使(1869-1882)が出した「布達(ふたつ)」や「達(たっし)」によって実行されています。そこにはなんと書いてあったのか――?
開拓使が発した法令は、明治政府が『開拓使事業報告』『法令全書』『開拓使布令録』といったインデックスにまとめています。国立国会図書館が運営する検索サイト「日本法令索引〔明治前期編〕」を利用すると、それらインデックスから目当ての法令ページを探して、デジタルスキャン画像を閲覧できます(このページ冒頭の法令ID番号も、「日本法令索引 明治前期編」の分類に基づいています)。
とはいえ、明治初期の高級役人たちが作った法令は、候文(そうろうぶん)スタイルで書かれていて、現代の私たちには一目ではなかなか理解できません。そこで、冒険的なことは承知の上で、だれにでも読みやすいような現代語訳を試みました。
当時の法令文には、先住民族に対する攻撃的・否定的な表現が数多く見られます。現代の私たちが読むと、人種主義に根ざしたヘイトスピーチそのものに映りますが、当時の日本政府による先住権侵害ぶりをあらわす「動かぬ証拠」として、あえてそのまま訳出しました。(平田剛士)

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