明治5年10月22日 開拓使達
法令ID番号:00800156
https://dajokan.ndl.go.jp/#/detail?lawId=00800156

| 原文 | 現代語訳 | |
|---|---|---|
| 第十七 十月廿二日 | 第17 10月22日 | |
| 銃砲規則 | 銃砲規則 | |
| 第1条 | 一 銃器並弾薬類商売ノ義ハ定員商売ノ外取扱致間敷右定員商売ハ精選ノ上免状可差遣事 | 銃器・弾薬類を販売するにあたっては、「定員商売」以外は行なうべきではない。「定員商売」であっても、よく見極めて業者を選び、販売許可免状を発給すること。 |
| 第2条 | 一 免許商人タリトモ軍用銃砲弾薬類ヲ窃ニ売買不相成売渡候節ハ買主ヨリ官ノ免手形ヲ受取其員数ヲ照シ売渡可申又買入ノ節モ願出免手形ヲ受其員数ヲ以買取可申事 | たとえ販売許可免状を取得した業者であっても、軍用の銃砲・弾薬類をみだりに売買してはならない。軍用の銃砲・弾薬類を販売する場合は、相手から官発行の「免手形」を受け取って数量を確認すること。また軍用の銃砲・弾薬類を仕入れる場合も、あらかじめ役所に申請して「免手形」の発給を受け、そこに記載された数量だけを買い取ること。 |
| 第3条 | 一 免許ノ商人其売買ノ銃砲弾薬類ハ多少ヲ論セス買取売渡トモ其主人ノ姓名其物品ノ員数等明細付記シ軍用ノ物ハ免手形相添毎月末可届出事 | 販売許可免状を取得した業者は、取り引きする銃砲・弾薬類の多い・少ないにかかわらず、仕入れ先や販売先の責任者の氏名と品目・数量などを詳しく記録した書類を作成すること。軍用の銃砲・弾薬類の売買に際してはその「免手形」も添えて、毎月末に役所に報告すること。 |
| 第4条 | 一 弾薬ノ義ハ仮令些少ノ品タリトモ唯便利ノミヲ計リ勝手ノ場所ヘ差置間敷願出差図テ受相囲可申事 | 弾薬は、たとえ少量であっても、単に便利だからといって、自分の好きな場所に保管することは許されない。必ず役所に願い出て、許可を受けた場所でだけ保管すること。 |
| 第5条 | 一 免許銃類ヲ除クノ外軍用ノ銃砲並弾薬類ピストルニ至ル迄私ニ貯蓄不相成就テハ是迄銘々所持致居候軍用銃砲ハ一々届出左ノ銃砲改刻印式ノ通番号印ヲ受可申他人ニ譲リ与ヘ候節ハ第二則ノ手続ニ従フへシ | 免許を受けた銃類を除き、今後は軍用の銃砲・弾薬類から拳銃まで、一切の銃砲・弾薬を私有してはならない。これまで各人が所持してきた軍用の銃砲類は、1丁ずつ役所に届け出て、以下に示す「銃砲改刻印式」に従い、通し番号を刻印すること。第三者に譲渡するさいは、第2条の手続きをとること。 |
| 銃砲刻印式 干支何番 開拓使 免許ノ銃類 | ||
| 第6条 | 一 和銃四文目 八分玉以下 一 各国諸猟銃 但西洋猟銃ノ義ハ其玉目稍大ナレトモ散弾ヲ用ユルモノハ之ヲ許ス 右猟用銃所持ノ者ハ其銃名員数等巨細付記シ届出ヘク若シ軍用猟用ノ差別難相弁者尋出候得ハ検査ノ上免許ノ証印ヲ据ヘ可相渡事 | 和式の銃 口径4文目(匁?)、弾丸のサイズが8分玉以下のもの 西洋式の猟銃 西洋式の猟銃については、弾丸のサイズが多少大きくても、散弾銃であれば所持を免許する。 これらの猟銃を所持する人は、銃の名称、銃の数などを詳しく記録した書類を役所に提出すること。軍用銃か狩猟銃かの区別がつかない人から問い合わせを受けた場合、役所はそれらの銃を検査してから、免許証に確認印を押して発給すること。 |
| 第7条 | 一 免許猟人ノ外猥リニ銃猟致間敷銃猟致シ度モノハ願出次第吟味ノ上左ノ免許猟札可差遣事 免許猟札ノ式 第何号 開拓使管轄 何国何郡何町/村身分 何某 右銃砲猟差免候事 年号干支 開拓使 | 免許を受けた人以外は、みだりに銃猟をしてはならない。銃猟を希望する人は役所に免許を申請すること。役所の「吟味」を受けて合格した人には「免許猟札」を発給する。「免許猟札」の書式は以下の通り。 第※号 開拓使管轄 ※国※郡※町/村 身分 氏名 右の者に銃砲猟を許可する。 明治※年 干支 開拓使 |
| 第8条 | 一 銃砲弾薬下々ニオヒテ猥リニ製造不相成候尤新ニ奇切便利ヲ発明シ為試製作致度者可願出事 | 一般人はみだりに銃器や弾薬類を製作・製造してはならない。利便性を高める新発明のために試作品を製造する場合でも、あらかじめ役所に(認可を)願い出ること。 |
| 第9条 | 一 是迄銃砲並弾薬類売買致来候者ハ現今所持ノ物品員数等無遺漏書記シ可差出事 | これまですでに銃器や弾薬類を販売してきた業者は、現在の在庫品それぞれの個数などをもれなく書類にまとめ、役所に提出すること。 |
| 付録 | 一 銃器弾薬類売買商売定員左ノ通〈以下、略します〉 | 銃器・弾薬類販売業者の定員〈以下、略します〉 |
| 買入免手形ノ式〈以下、略します〉 | 買い入れ「免手形」の書式〈以下、略します〉 | |
| 一 銃猟免許ノ札ハ土人ニモ可差遣事 | 銃猟免許は、土人(先住民族アイヌ)に対しても発給しなければならない。 |
先住民族アイヌに対する「同化政策」の多くは、開拓使(1869-1882)が出した「布達(ふたつ)」や「達(たっし)」によって実行されています。そこにはなんと書いてあったのか――?
開拓使が発した法令は、明治政府が『開拓使事業報告』『法令全書』『開拓使布令録』といったインデックスにまとめています。国立国会図書館が運営する検索サイト「日本法令索引〔明治前期編〕」を利用すると、それらインデックスから目当ての法令ページを探して、デジタルスキャン画像を閲覧できます。とはいえ、明治初期の高級役人たちが作った法令は、候文(そうろうぶん)スタイルで書かれていて、現代の私たちには一目ではなかなか理解できません。そこで、冒険的なことは承知の上で、だれにでも読みやすいような現代語訳を試みました。なお法令ID番号は「日本法令索引 明治前期編」に基づいています。(平田剛士)

