法令ID番号:01000240
明治11年11月4日 開拓使第22号達
廃止年:不明
https://dajokan.ndl.go.jp/#/detail?lawId=01000240

https://dl.ndl.go.jp/pid/9775049
| 原文 | 現代語訳 |
|---|---|
| [十一年]十一月四日 第二十二号達 本支庁宛 | 1878(明治11)年11月4日 第22号達 本庁・支庁あて |
| 旧蝦夷人ノ儀ハ戸籍上其他取扱向一般ノ平民同一タル勿論ニ候得共諸取調者等区別相立候節ノ称呼一定不致候ヨリ古民或ハ土人旧土人等区々ノ名称ヲ付シ不都合候條自今区別候時ハ旧土人ト可相称但旧土人ノ増減等後来ノ調査ニ差支サル様別ニ取調置ヘシ | 「旧蝦夷人」(=アイヌ民族)について、戸籍上はもちろん一般の平民と同じだが、取り調べを受けたりするさいの呼び方が一定しておらず、「古民」「土人」「旧土人」など、それぞれ異なる名称で呼ばれているのは不都合である。そこで今後は(和人と)区別して呼ぶ時は「旧土人」の呼称を用いること。旧土人の人口増減調査などは、今後に支障がないよう区別して取り調べること。 |
先住民族アイヌに対する「同化政策」の多くは、開拓使(1869-1882)が出した「布達(ふたつ)」や「達(たっし)」によって実行されています。そこにはなんと書いてあったのか――?
開拓使が発した法令は、明治政府が『開拓使事業報告』『法令全書』『開拓使布令録』といったインデックスにまとめています。国立国会図書館が運営する検索サイト「日本法令索引〔明治前期編〕」を利用すると、それらインデックスから目当ての法令ページを探して、デジタルスキャン画像を閲覧できます(このページ冒頭の法令ID番号も、「日本法令索引 明治前期編」の分類に基づいています)。
とはいえ、明治初期の高級役人たちが作った法令は、候文(そうろうぶん)スタイルで書かれていて、現代の私たちには一目ではなかなか理解できません。そこで、冒険的なことは承知の上で、だれにでも読みやすいような現代語訳を試みました。
当時の法令文には、先住民族に対する攻撃的・否定的な表現が数多く見られます。現代の私たちが読むと、人種主義に根ざしたヘイトスピーチそのものに映りますが、当時の日本政府による先住権侵害ぶりをあらわす「動かぬ証拠」として、あえてそのまま訳出しました。(平田剛士)
