法令ID番号00801569
明治9年9月13日 開拓使本庁丙第149号達
廃止日:不明
https://dajokan.ndl.go.jp/#/detail?lawId=00801569

https://dl.ndl.go.jp/pid/995338/1/79
| n | 現代語訳 |
|---|---|
| 丙第百四十九号 九月十三日 (札幌郡)市在区戸長総代 | 丙第149号 1876年9月13日 (札幌郡)市在区戸長総代あて |
| 豊平川ニ於テ漁業ヲ為スニ砂石ヲ集メ或ハ杭木ヲ打水棚ヲ設ケ水利ヲ妨ケ候者有之哉ニ付先般丙第四十五号ヲ以テ相達置候処秋季鮭漁ノ際ハ一層注意致シ鑰取ノ外ハ兼テ願済ノ者ト雖モ引網等一切不相成義ト可相心得仮令鑰取ト雖モ右等ノ所為有之ニ於テハ見当次第漁具取揚速ニ可届出此旨相達候事 | 豊平川で漁業を営む者の中に、砂利を積んだり、木製の杭を打ち込むなどして堰を設け、水利を妨げている人がいる。さきごろ丙45号によって(禁止を)命じたところである。秋にサケ漁が行なわれている時はいっそう注意を払うこと。「鑰取(カギ取り)」を除き、以前願出済みの人であっても引き網などの使用は禁じられていることを改めて確認すること。「仮令鑰取」であれ、引き網などを所持しているのを見つけたらすぐに没収し、すみやかに役所に届け出ること。以上のことについて(管轄内の住民に)伝達しなさい。 |
現代語訳者の注記
原文「丙第四十五号」は「丙第百四十五号」の誤記で、「法令ID番号00801566 豊平川ニテ水理ノ障害ヲ為ヲ禁ス 明治9年9月8日 開拓使本庁丙第145号達」をさしているとみられる。
先住民族アイヌに対する「同化政策」の多くは、開拓使(1869-1882)が出した「布達(ふたつ)」や「達(たっし)」によって実行されています。そこにはなんと書いてあったのか――?
開拓使が発した法令は、明治政府が『開拓使事業報告』『法令全書』『開拓使布令録』といったインデックスにまとめています。国立国会図書館が運営する検索サイト「日本法令索引〔明治前期編〕」を利用すると、それらインデックスから目当ての法令ページを探して、デジタルスキャン画像を閲覧できます(このページ冒頭の法令ID番号も、「日本法令索引 明治前期編」の分類に基づいています)。
とはいえ、明治初期の高級役人たちが作った法令は、候文(そうろうぶん)スタイルで書かれていて、現代の私たちには一目ではなかなか理解できません。そこで、冒険的なことは承知の上で、だれにでも読みやすいような現代語訳を試みました。
当時の法令文には、先住民族に対する攻撃的・否定的な表現が数多く見られます。現代の私たちが読むと、人種主義に根ざしたヘイトスピーチそのものに映りますが、当時の日本政府による先住権侵害ぶりをあらわす「動かぬ証拠」として、あえてそのまま訳出しました。(平田剛士)
