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北海道ウタリ協会 1991年7月 北海道大学アイヌ納骨堂に係る経過報告

  1. 昭和8年日本学術振興会学術部に、「アイヌの医学的研究」を行う目的で第8小委員会が設置される。
  2. 第8小委員会の研究分野のうち解剖学担当の委員として、北海道大学医学部教授山崎春雄と児玉作左衛門の両氏が就任した。
  3. 昭和9年から同13年にかけて、両教授が中心となって、八雲、浦幌、長万部、森、北見、旧樺太及び千島等の各地から、昭和31年には、静内からアイヌ民族人骨の発掘収集が行われた。
  4. 人骨の発掘収集数は、北海道関係822体、旧樺太関係91体、旧千島関係51体の計964体である。その他40の不在葬があり、これら不在葬からは、頭蓋(骨)は収集されていないが、これを合せると1004体となる。
  5. 昭和57年6月開催の本協会理事会において「適切な措置をとるべきである」との問題提起があり、同月8日付をもって北海道大学学長宛に
    (1)供養に誠意ある一連の措置を将来にわたっても行うこと。
    (2)地域が希望(遺族である個人も含む)する場合は返還すること。
    2点を要請(文書にて)する。
  6. 昭和57年12月に、北海道大学保管のアイヌ人骨にかかる返還希望について該当地区の18支部を対象にアンケート調査を実施した。
  7. この調査の結果、釧路、旭川の2支部については、「現地で引き受ける」旨の回答があり、残る15支部については「全道一括して供養の方途を講じて欲しい」旨の回答があった。さらに江別支部については、継続協議してきた結果、昭和59年3月1日「納骨堂を建てることを条件で現地で引き受ける」旨の回答を得た。
  8. 北海道大学学長宛に要請文書を提出して以来、前記アンケート調査結果等も踏まえて北海道大学(医学部)側等と10数回にわたり協議を重ねてきた結果、納骨堂の建設と、人骨の返還を希望する場合には返還する旨の確認を得た。
  9. これら一連の問題については、昭和59年5月27日開催の本協会定期総会に提案され、さらにイチャルパの実施方法については、理事会で協議していくことで可決された。
  10. 定期総会終了後、総務部会(理事会で委ねる旨決定された)において、イチャルパの実施方法等について検討してきた。
  11. 昭和59年7月25日納骨堂が完成し、同月27日静内支部高田勝利氏他4名並びに本協会関係理事、北海道大学医学部関係者によってチセノミを行った。
  12. さらに、7月30日より8月1日の3日間にわたり、本協会関係者立ち会いのもとに納骨堂への人骨移管が行われた。
  13. 昭和59年8月11日関係者の協力により、第1回イチャルバを実施した。
  14. 昭和60年5月13日北大相沢医学部長外の関係者と、今後に残された諸問題について協議した結果次のとおりの回答を得た。
    ①本年度のイチャルバ執行経費については前年度の額以上確保できるよう努力する。
    ②基金創設実行委員会を6月中に発足させ明年度以降は、これによって対応できるよう努力する。
    ③人骨返還を希望する支部については、協会本部(窓口)をとおして申し入れがあった場合責任をもってこれに当る。
    ④人骨返還後地元でイチャルバを執行する場合の経費については社会常識的な範囲内で負担する。(花、供物料等)
  15. 昭和60年8月7日旭川関係保管分5体について地元関係者により引取られ、旭岡6丁目「旭岡公園内納骨堂『殉郷殿』」に安置された。
  16. 昭和60年8月10日関係者の協力のもとに第2回イチャルパの実施に至る。
  17. 昭和60年8月30日釧路関係保管分7体について、地元関係者により引取られ「紫雲台墓地内ウタリ共同納骨堂」に安置された。
  18. 昭和61年8月9日関係者の協力のもとに、第3回イチャルパを実施した。
  19. 昭和61年12月1日北大医学部より納骨堂東側にエネルギー棟を建設する件について事前協議があり協会として実施調査の結果、支障ないと認め承認した。
  20. 昭和62年8月15日関係者の協力のもと、第4回イチャルパを実施した。
  21. 昭和62年11月24日帯広関係保管分19体が、地元関係者により引き取られ、「帯広つつじが丘霊園ウタリ納骨堂」に安骰された。
  22. 昭和62年12月14日北大医学部のアイヌ人骨保管に関する問題提起をした海馬沢博氏が逝去された。
  23. 昭和63年3月9日・6月29日の2回にわたり北大医学部長(広重氏)と「アイヌ人骨供養祭執行基金」(仮称)の創設にかかる協議を行った。
    ①基金は、2,100万円とする。
    ②63年度イチャルパ執行にかかる経喪については、前年同様100万円とする。
    なお、同上内容で昭和63年度当協会定期総会の決定をみ、8月4日北大医学部と確認書を交わした。
  24. 昭和63年8月12日関係者の協力のもと、第5回イチャルパを実施した。
  25. 以前から納骨堂ホールが狭隘であることが指摘されていたが、昭和63年8月12日イチャルバ終了後に北大医学部側と納骨堂増築について協議した結果、増築する運びとなり、同年11月18日従前の12㎡から25㎡に増築された。
  26. 平成元年8月12日増築された納骨堂において、関係者の協力のもと第6回イチャルパを実施した。
  27. 平成2年8月10日、第7回イチャルパを実施した。

このページでご紹介しているテキストは、1987年6月から2000年11月にかけて、社団法人北海道ウタリ協会(現・公益社団法人北海道アイヌ協会)が、国際連合の会議に参加して発表した声明、報告、発表・演説の全文です。社団法人ウタリ協会『国際会議資料集』(2001年2月28日発行)を底本としました(明らかな誤植を修正しています)。この資料集には英訳が併記されていますが、ここでは日本語のパートのみ転載しています。(森・川・海のアイヌ先住権研究プロジェクト)

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