・『いま学ぶアイヌ民族の歴史』
加藤博文・若園雄志郎 編集 2018年 出川出版社 ジャンル 通史
2020年夏、北海道白老町にオープンしたばかりの国立アイヌ民族博物館を訪問したおり、ミュージアムショップで見つけて購入しました。
執筆陣は、加藤博文・北海道大学教授と若園雄志郎・宇都宮大学准教授の2人に加え、函館や札幌の公立高校に勤務する歴史科教諭たち5人。きっと彼ら自身が現場感覚で「こんな教科書副読本/資料集がほしい」と願ってつくったのでしょう。
1テーマを見開き2ページ内に詰め込んだイラスト仕立てで、「第1部 アイヌ形成に至る歴史」から「第5部 戦後民主国家の成立とアイヌ民族」まで全150ページあまりを通読すれば、「アイヌ民族の歴史」をざっくりつかめます。
高校生じゃない読者にも実用性は高いと思います。自分で原稿を書く時など、覚束ない事項をサッと確認できて重宝です。こちら「森・川・海のアイヌ先住権研究プロジェクト」ウェブサイトの「アイヌモシㇼ170年の歴史年表」を作るさいも本書に助けられました。
アイヌ先住権への直接の言及は残念ながらわずかですが、日本政府によるアイヌの諸権利侵害がもっとも苛烈だった19~20世紀の植民地主義的な政策に対しては、現代的な人権尊重の価値観に基づく編著者たちの批判的な態度が明確です。(森川海プロジェクト 副代表 平田剛士)
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