ウェブサイトをオープンしました(2024年10月1日)

北海道ウタリ協会の20世紀末の国際活動・解説

国連総会で演説する野村義一氏 12/10/1992 5:11:15 PM  Representatives of the World's Indigenous Peoples Participate in the Launching of International Year, 1993 UN Photo Digital Asset Management System https://dam.media.un.org/CS.aspx?VP3=DamView&VBID=2AM94S6HQ7MS7&SMLS=1&RW=1387&RH=923

このカテゴリーでご紹介するテキストは、1987年6月から2000年11月にかけて、社団法人北海道ウタリ協会(現・公益社団法人北海道アイヌ協会)が、国際連合の会議に参加して発表した声明、報告、発表・演説の全文です。社団法人ウタリ協会『国際会議資料集』(2001年2月28日発行)を底本としました(誤植が明らかな字句を修正しています)。この資料集には英訳が併記されていますが、ここでは日本語のパートのみ転載しています。(森・川・海のアイヌ先住権研究プロジェクト)

解説

1992年12月10日、アメリカ・ニューヨークの国連総会での野村義一・社団法人北海道ウタリ協会理事長による「世界の先住民の国際年」記念演説は、当時、大きな反響を呼びました。〈それは国際連合等が進めている先住民族に関する種々の活動の当事者であると日本政府と国民が認めざるを得ない契機となったからです〉(1993年「先住民に関する国連作業部会に対する声明」)。

各年次の報告文・声明文は、当時の日本政府の対アイヌ政策の実態をコンパクトにリポートしています。また、人種主義的な北海道旧土人保護法(1899年)を温存し続け、アイヌを先住民族と認めないなど、先住民族の諸権利保障に消極的な日本政府に対して、繰り返し厳しい批判を述べています。1991年には「先住民に関する国連作業部会」のダイス議長らによる日本視察が実現し、日本政府に「外圧」が高まります。1997年、日本の国会は北海道旧土人保護法を廃止し、新たにアイヌ文化振興法案を可決しました。

国際連合は2007年9月13日の総会で、それまで実に22年もの時間を費やして起草した「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を採択します。

〈国連加盟国と先住民族がその痛ましい歴史について和解し、すべての人にとっての人権、正義、発展の道を共に進むことを決意した歴史的瞬間〉(UN press release “Historic Milestone for Indigenous Peoples Worldwide as UN Adopts Rights Declaration”、日本語訳は小坂田裕子『先住民族と国際法』信山社、2017年、p3から)でした。

北海道ウタリ協会(またそれを支援したNGO「市民外交センター」)による20世紀末の一連の国際活動が、こうした成果に寄与したことは疑いないでしょう。

平田剛士(フリーランス記者)

  • URLをコピーしました!
もくじ