12/1(日)ドキュメンタリー上映会&トーク「カムイチェプ サケ漁と先住権」

先住権とは?

わたしたちはこの言葉を、「先住民族の諸権利」を縮めた略語として使っています。英語だと”the Rights of Indigenous Peoples”と表記されるもので、単語の頭文字を選び取ってRIPと略されることもあります。

では、「先住民族の諸権利」とは、具体的に何を指すのでしょうか?

そんなの、「先住民族の権利に関する国際連合宣言/United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples」に書いてありますよ、というのがひとつの答え方かも知れません。

国際連合が2007年9月13日の総会で採択した宣言文です。国連自身の説明によると、〈こんにちにおける最も包括的な国際法律文書〉であり、〈世界中の先住民族の生命・尊厳・幸福や健康を保障するための最低限の国際基準が書かれています。また、人権や基本的自由についての既存の国際基準をもとに、先住民族にそれらを当てはめた文章が記されています〉(国際連合のウェブページ、原文英語、日本語訳は引用者)。

この国連宣言は、24の段落からなる前文と、全46の条文で構成されています。ざっと目を通すだけでもお分かりのとおり、「先住民族には先住民族だけが持つ特別な権利があるのだ」といったことは、まったく書いてありません。国連宣言は決して特権の一覧表ではなく、先住民族であろうとなかろうと、21世紀の世界中のすべての生活者にとって当たり前の権利や自由、いわゆる基本的人権・基本的自由がていねいにリスト化されているに過ぎません。

でもだったらなぜ、わざわざこんな権利宣言が必要だったのでしょう?

答えは明白です。アイヌを含む世界の先住民たちが、そんな「当たり前の権利や自由、いわゆる基本的人権・基本的自由」を、自分たちは今なお国家に制限された状態にある、と考えているからです。

とすれば、そのような「当たり前の権利や自由」のうち、国家の法律による規制はもとより、非先住民マジョリティの価値観の押しつけ、植民地開発にともなう環境破壊などによって、先住民族がいま制限されているすべてを「先住民族の諸権利」と見なせるでしょう。

みずから〈先住民族の状況が、地域や国によって異なること、ならびに国および地域的な特性の重要性と、多様な歴史的および文化的背景が考慮されるべき〉(前文第23段落)と記す国連宣言には、それぞれの先住民たちについて個別具体的な諸権利が書いてあるわけではありません。

そこでわたしたちは、この「森・川・海のアイヌ先住権研究プロジェクト」で、ヤウンモシㇼ=北海道島のアイヌ民族について、そうした諸権利をひとつずつ「見える化」したいと考えています。

いまだこの国で制限され続けている諸権利の回復に向けた第一歩です。

平田剛士 フリーランス記者

森・川・海のアイヌ先住権

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