さっぽろ自由学校「遊」2025年後期 講座「先住民族の森川海に関する権利7―先住民族の権利と国・企業の責任」開講中

『トラウマインフォームドな調査・取材~アイヌ・フレンドリーなインタビューってなんだろう~』

・『トラウマインフォームドな調査・取材~アイヌ・フレンドリーなインタビューってなんだろう~』(前・中・後編)
北原モコットゥナㇱ 著 2025年 「こころ」のための専門メディア 金子書房 (オンライン記事)

あるとき、森川海プロジェクトのアイヌメンバーから、こんな話が出ました。
「和人から『アイヌ、かっこいい。自分もアイヌになりたい』と言われることがある。でも、それってどういうことなんだろう?」

この言葉を言った本人に悪気はなく、「アイヌ文化って素敵だな」「自分もあんなふうに文化を実践できたら」という、“素朴な憧れ”という認識なのかもしれません。けれど、アイヌ民族の辿ってきた歴史について少しでも理解があれば、また相手を一人の人間として——考え、喜び、傷つく感情をもつ存在として——見ていたら、果たしてこんな言葉は本当に出るでしょうか。

とりわけ日本社会では、和人がマジョリティとして、植民地主義のもと長い時間をかけて多くのマイノリティを抑圧してきた歴史があります。その立場から発せられる“憧れ”や“褒め言葉”は、当事者にとっては軽い一言では済みません。私は和人として、和人からこのような発言が出てくることを重く受け止めます。

北原モコットゥナㇱ先生のこちらのオンライン記事は、こうした“マジョリティには無邪気に見える言葉や疑問”が、なぜアイヌ民族にとってトラウマのトリガー(引き金)になるのかを、前・中・後編で段階的に、とても丁寧に解きほぐしてくれます。さらに、北原先生直筆の「トラウまんが」は、ポップな絵柄でありながら核心を突き(心を抉り)、問題の見える化をしてくれます。

私たちのプロジェクトでは、フチとエカシのストーリー、そして自由学校遊での講座(先住民族の森川海に関する権利講座)を、アイヌ民族を含む協力者や登壇者の許可をいただき、確認を経たうえで記事として公開してきました。けれど、「話していただくこと」そのものが負担になりうることも忘れてはいけません。十分な予備知識を持てているか、相手に向き合う態度は適切か——和人・アイヌに関わらず、メンバー全員が徹底できているかを自戒し続けています。必要なのは、想像力と、それに伴う責任です。

こちらの記事では、北原先生は和人/マジョリティへの啓発だけでなく、アイヌ民族やマイノリティの側への「和人/マジョリティとの向き合い方」という視点も含めて語られています。マジョリティの視線や言葉に向き合わざるを得ない人にとっても、支えや整理の手がかりが得られる内容だと思います。さらにマジョリティ側にとっても、「関心がある」「もっと知りたい」という気持ちを、相手を傷つけない形で育てていくための具体的なヒントが随所に示されています。社会を生きるすべての方に、ぜひ読んでほしい記事です。(七座有香)

森川海研ライブラリーでは、他にも北原モコットゥナㇱ先生の『アイヌもやもや 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。 』も紹介しています。

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