法令ID番号:00801353
明治9年9月24日 開拓使本庁甲第26号布達
https://dajokan.ndl.go.jp/#/detail?lawId=00801353

| 原文 | 現代語訳 |
|---|---|
| ○甲第二拾六号 九月二十四日 | 甲第26号 1876(明治9)年9月24日 |
| 従来土人共毒矢ヲ以テ獣類ヲ射殺スル風習ニ有之候処右ハ獣類生息妨害不尠ニ付今後堅ク相禁候然ルニ土人ノ旧慣一時当業ヲ失ヒ目下困難ノ者可有之ニ付他ノ新業ニ移ルヘキハ之ヲ移シ又ハ猟銃ヲ換用セントスル者ヘハ之ヲ貸与シ年々収獲ノ鹿皮十分ノ二ヲ以テ漸々猟銃ノ代償ヲ償還為致将来生計ノ途ヲ失ハシメサル様誘導方厚ク注意可致尤弾薬購入不便ノ地ハ該分署ニ於テ適宜払下取計且銃器取扱ノ義ハ精密教示可致此旨布達候事 | アイヌ民族たちには従来、毒矢を用いて野生動物を「射殺」する「風習」があるが、このやり方は、少なからず野生動物の生息を妨げているため、今後は厳禁とする。ただそうなると、「旧慣」のままのアイヌ民族には、一時的に失業して困窮してしまう人もいるだろう。そこで、〈猟師をやめて〉「新業」に変えたいという人は転職させ、または、〈弓矢を〉猟銃に交換したいという人には、猟銃をレンタルすること。その代金として、1年分のシカ皮の売上の20%の金額を、毎年徴収する。将来にわたって生計の道を閉ざさないよう、きわめて注意深く指導すること。交通が不便で弾薬の購入が困難な地域では、必要に応じて地元の役所から払い下げを受けられるよう、取り計らいなさい。また、銃器の扱い方を懇切丁寧に指導しなさい。以上のことを通達する。 |
先住民族アイヌに対する「同化政策」の多くは、開拓使(1869-1882)が出した「布達(ふたつ)」や「達(たっし)」によって実行されています。そこにはなんと書いてあったのか――?
開拓使が発した法令は、明治政府が『開拓使事業報告』『法令全書』『開拓使布令録』といったインデックスにまとめています。国立国会図書館が運営する検索サイト「日本法令索引〔明治前期編〕」を利用すると、それらインデックスから目当ての法令ページを探して、デジタルスキャン画像を閲覧できます。とはいえ、明治初期の高級役人たちが作った法令は、候文(そうろうぶん)スタイルで書かれていて、現代の私たちには一目ではなかなか理解できません。そこで、冒険的なことは承知の上で、だれにでも読みやすいような現代語訳を試みました。なお法令ID番号は「日本法令索引 明治前期編」に基づいています。(平田剛士)

