さっぽろ自由学校「遊」2025年後期 講座「先住民族の森川海に関する権利7―先住民族の権利と国・企業の責任」開講中

現代語訳・豊平川ニテ水理ノ障害ヲ為ヲ禁ス(1876年)

法令ID番号00801566
明治9年9月8日  開拓使本庁丙第145号達
廃止日:不明
https://dajokan.ndl.go.jp/#/detail?lawId=00801566

開拓使布令録編輯課 [編纂]『開拓使布令録』明治9年[中],[開拓使],1880印刷. 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/995338/1/72
原文現代語訳
丙第百四十五号 九月八日
(札幌郡)市在区戸長総代
丙第145号 1876年9月8日
(札幌郡)市在区戸長総代あて
廳下豊平川ニ於テ漁業ノ為水中ヘ木杭ヲ打チ或ハ砂石ヲ集積シ河水ノ流通ヲ妨ケ漕船ノ通路ヲ害シ候者モ有之哉ニ相聞候甚以不相済義ニ候條自今総テ水利ニ障碍候様ノ義厳禁候條心得違無之様厚ク注意可致此旨相達候事札幌郡内を流れる豊平川で、漁業のために水中に木の杭を打ち込んだり、あるいは石や砂利を積み上げたりして、河川の流れを変更し、運航する船の航路を妨害している人がいる、との情報がある。そのまま見過ごすわけにはいかず、今後は、水利の障害になるような行為はすべて厳禁する。間違ってこの命令に違反しないよう、十分注意するように(管轄エリアの住民たちに)告知しなさい。

先住民族アイヌに対する「同化政策」の多くは、開拓使(1869-1882)が出した「布達(ふたつ)」や「達(たっし)」によって実行されています。そこにはなんと書いてあったのか――?
開拓使が発した法令は、明治政府が『開拓使事業報告』『法令全書』『開拓使布令録』といったインデックスにまとめています。国立国会図書館が運営する検索サイト「日本法令索引〔明治前期編〕」を利用すると、それらインデックスから目当ての法令ページを探して、デジタルスキャン画像を閲覧できます(このページ冒頭の法令ID番号も、「日本法令索引 明治前期編」の分類に基づいています)。
とはいえ、明治初期の高級役人たちが作った法令は、候文(そうろうぶん)スタイルで書かれていて、現代の私たちには一目ではなかなか理解できません。そこで、冒険的なことは承知の上で、だれにでも読みやすいような現代語訳を試みました。
当時の法令文には、先住民族に対する攻撃的・否定的な表現が数多く見られます。現代の私たちが読むと、人種主義に根ざしたヘイトスピーチそのものに映りますが、当時の日本政府による先住権侵害ぶりをあらわす「動かぬ証拠」として、あえてそのまま訳出しました。(平田剛士)

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